2017.11.8
あおり運転問題で日本人は欧米に学べることがある
井元康一郎:ジャーナリスト
神奈川県の東名高速道路上で1台のクルマが他のクルマを無理やり停め、トラックが衝突。停められたほうの乗員2名が死亡するという悲惨な事故を契機に、最近、あおり運転など、危ない運転を記録したドライブレコーダーの映像が良く放映される。
2017年11月8日のダイアモンドオンライで、ジャーナリストの井元康一郎 氏が、「あおり運転問題で日本人は欧米に学べることがある」題してコメントを載せていた。
常々自分も思っていたことだけに、省庁はこうした意見を取り上げ、より合理的な道路交通法の改正と、免許更新等を利用したドライバー教育に活かしてほしいと感じた。
記事抜粋:
「ドイツはセンターラインのない山道でも制限速度の100km/hで走り、相対速度200km/h近くで平然とすれ違うような国ですが、印象的だったことのひとつが、自動車学校では発進時に後続車の邪魔にならないよう速やかに車速を上げるよう習う、ということでした。交通全体の中で、自分がどう振る舞うべきかを習うんです」
筆者は若い頃、イタリアの自動車学校に行った。そこで最初に強調されたのは、道路交通において重要なのは、他者の権利を尊重することだった。
「速く行きたいクルマを見たら速やかに進路を譲れ。交差する道路が優先道路だったら、その流れを止めない状況まで出るな。皆がそうすれば、自分の権利もおのずと守られる」と。
これは「道路交通法に違反しさえしなければ、何でもあり」という日本の交通道徳とは、著しく異なる考え方だ。
素直に道を譲ればいいのである。譲れる状況であるにもかかわらず譲らないで車線に張り付いていたら、進路妨害を取られて先行車のほうが検挙されることもよくある。
日本の道路交通法は、「現代の交通の実情」にもはや合わない部分が山のように出てきている上、それを守れば交通が円滑になるというものでもない。ならず者によるロードレイジや走行妨害は論外としても、普通のドライバーによるあおり運転も多発しているとなると、それに対して「あおりはダメです」と言ったところで、効果はほとんどないだろう。
「他者の権利を保障することが自分の権利の保障につながる」という欧米流の良いところを、交通教育に取り入れていくべきではないかと、つとに思う次第である。
【第170回】 2017年11月8日 上久保誠人 :立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長
トランプ訪日で浮き彫りになった「アメリカファースト」の真実
マスコミはトランプと安倍首相の親密度を強調する報道が主体だったが、トランプのTwitterに、
My visit to Japan and friendship with PM Abe will yield many benefits, for our great Country. Massive military & energy orders happening+++!
というコメントがあり、二人の間にどんな会話が交わされたのか気になっていた。
それにたしいて、この記事が一つの示唆、見方を与えていた。
(記事抜粋)
トランプ訪日は「大統領を接待した」だけに終わった
日本は引き続き「超対米従属」に徹するしかない
今回の訪日で、トランプ大統領は「どんな独裁者も、どんな政権も、どんな国も米国の決意を甘く見ないほうがよい」「私が大統領である限り、米国は圧倒的な力と資金で必ず勝利する」と発言し、北朝鮮への圧力を一段と強化する方針を示した。それは大変心強いことだが、発言の内容は、従来以上に踏み込んだものではない。
むしろ驚かされたのは、トランプ大統領が「日本が米国からさらに軍装備品を購入すれば、安倍首相は北朝鮮のミサイルを撃ち落とすことができるだろう」と発言したことだ。安倍首相は「日本の防衛力を質的に、量的に拡充していかなければならない」と応じ、イージス艦などのミサイル防衛体制強化のために、米国からさらに装備品を購入していくことになるとの見通しを示した。
また、トランプ大統領は、日米の企業経営者らとの会合で、日本との貿易は「公平で開かれたものではない」と強調し、「日本との慢性的な貿易不均衡を是正していかなければならない」と発言するなど、貿易赤字解消への意欲を示している。
結局、「過去にない緊密な日米関係」をいくら強調してみたところで、トランプ大統領は「アメリカから武器を買って、日本に飛んでくるミサイルは自分で撃ち落とせ」なのである。何度でも強調するが、アメリカファーストなのである。
今、日本ができることは「超対米従属」のみである(第149回)。米国が築いた同盟関係から最も恩恵を受けてきた日本は、同盟関係を維持する以外に、生きていく道はない。その意味で、安倍首相がトランプ大統領をまるで「成金社長を接待漬け」にするように歓待したのは、正しいと思う。
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