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歳時記

新型コロナウィルスと科学・技術後進国日本(4/12)

新型コロナ感染者の増加の勢いが止まらない。3月の春分の日の連休を境に、あるいは東京オリンピック延期の決定を境に、大都市圏の感染者の増加と地方への拡散スピードが高まった。4月になって政府はようやく緊急事態宣言を出し「人との接触8割減」の要請をしたが、中小企業などはテレワークの仕組みもなく休業補償とのセットでないから、簡単に休業することができず実効性が低い。

このまま対策が徹底されないで感染者の数が急増すれば、国民一人当たりのICUの数が圧倒的に少ない日本では、現在、他国に比べ特異的に少ない死者数も、今後どうなるか予断を許さない。仮に致死率が低いとしても、新型コロナ感染がだらだら続けば、日本だけが世界から取り残され、日本経済は大きなダメージを被るだろう。

それにしても、政府・官僚の無為無策と言ってもよい、スピード感、緊張感のない”リスク対応”は本当に情けない。真正面から問題に立ちむかい、必死で戦っているのは現場のみで、霞が関の大臣、閣僚、議員は誰も強い責任を感じていない。

この構造は戦前の日本と全く同じである。敗戦後、なぜ日本は戦争に突き進んだのか、その構造的な問題はなんだったのか、本来民主主義とは何だったのか等を真剣に問わなかった国民一人一人にも責任はある。その結果が今の自民党政権の腐敗を許しているのだから・・・。

さすがにこの惨状(フレキシブルでスピード感のある対応ができない政府のふがいなさ)を憂慮して、ノーベル生理学賞受賞の山中教授や本庶佑特別教授ら著名人が緊急提言をはじめた。

山中先生のホームぺージ (3/31)
https://www.covid19-yamanaka.com/
5つの提言:https://www.covid19-yamanaka.com/cont6/main.html

提言1 今すぐ強力な対策を開始する
ウイルスの特性や世界の状況を調べれば調べるほど、新型ウイルスが日本にだけ優しくしてくれる理由を見つけることが出来ません。検査数が世界の中でも特異的に少ないことを考えると、感染者の急増はすでに始まっていると考えるべきです。対策は先手必勝です。
・・・・・・・・・
わが国でも、特に東京や大阪など大都市では、強力な対策を今すぐに始めるべきです。

提言2 感染者の症状に応じた受入れ体制の整備
無症状や軽症の感染者専用施設の設置を
重症者、重篤者に対する医療体制の充実
医師・看護師など医療関係者を、感染と過重労働から守る必要があります。

提言3 検査体制の強化(提言2の実行が前提)
このままでは医療感染者への2次感染が急増し、医療崩壊がかえって加速されます。自分が感染していることに気づかないと、家族や他の人への2次感染のリスクが高まります。
PCR検査を必要な時に必要な数だけ安全に行う体制の強化が求められています。これは世界各国の行政や科学者の知恵比べです。

提言4 国民への協力要請と適切な補償
事業主に対しての補償、従業員に対しての給与の支払いや再開時の雇用の保証を、国と自治体が行う必要があります。
国民に対して長期戦への対応協力を要請するべきです。休業等への補償、給与や雇用の保証が必須です。各国首脳や政治家の手腕が問われています。

提言5 ワクチンと治療薬の開発に集中投資
新型コロナウイルスの特性に応じた治療薬の開発が緊急の課題です。アメリカ等でワクチンや治療薬が開発されても、日本への供給は遅れたり、高額になる可能性もあります。産官学が協力し、国産のワクチンと治療薬の開発に全力で取り組まなければなりません。

本庶先生のホームページ (4/6)
http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/
新型コロナウィルスに対する緊急提言:http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/20200406_COVID-19.pdf

日本テレビ
ウェークアップ!ぷらす ノーベル賞本庶佑教授に聞く治療法に関する緊急提言
4月11日(土)朝 8:00~9:25:https://www.youtube.com/watch?v=hsH0zpyub14

1. 感染者を検出するPCRを毎日1万人以上に急速に増やす
(これまで 合計 45,000人 4月5日)
 無症状、軽症、重症の振り分け(東京都実施)

2. 東京圏、大阪圏、名古屋圏の1ヶ月の完全外出自粛により満員電車での通勤をやめる
 その結果、医療崩壊を防止
 全国への蔓延を待つべきではない
 経済保障はそのあとで考えるべき

3. 治療法として外国で有効性が示されているものを実地導入する 野戦病院での戦いであることを自覚
 a) 急性期 抗ウィルス剤(アビガン等)
 b) 重症肺炎時の炎症反応の暴走時にはトシリズマブ等

また本庶先生は、提案資料の中で、

「これまでの他国の例からの教訓」として、科学的事実を直視 (重視) せず直近の経済的損失を恐れて対策を後に延ばした指導者はすべて失敗した
 失敗例: イタリア、イギリス、米国
 成功例: 台湾

「将来への教訓」として、科学の価値は経済利益を生み出すことだけではない
命・社会・国家を守ることが基本である

と述べている。

さらに先生は、日経新聞のインタビューで、下記のような課題も提起している。

「感染症対策は一種の戦争のようなところがある。いざというときには社会システムをコントロールして、かなり強い権限をもって対応する。専門家が平時から提言し、行政が実効に移していかなければならないが、日本はそうなっていない・・・医学における自衛隊のような仕組みがないのはよくない」

「IT戦略の遅れ、いかに社会実装されていないかがあらわになった。台湾の取り組みはとても参考になる。マイナンバーが一つのカードで個人の医療所法もわかるようになっている。教育だってオンラインのほうが先生と生徒の一対一感が強まる。40人の教室で孤独感をあじわわずに済む。どんどんやったらよい。」

特に「(日本の)IT戦略の遅れがあらわになった」というコメントは、大いに賛同できる。

中小企業や個人自営主などが休業で苦しんでいるのにも関わらす、補助金申請は相変わらず紙ベースで、受付審査から支払いまでの時間は平時と変わらない。しかも申請様式は煩雑で分かりにくい。
源泉徴収や確定申告という仕組みがありながら、このデータのデジタル化ができていない。マイナンバーを国民に付与したのだから、データベースの一律管理ができるはずなのに、国民を管理することばかり考えていて、公務員の紙ベースの仕事を合理化するスマートなITによるシステム化は全く遅れている。まず簡略化した申請で一律補助金を払い込み、今年の確定申告で金持ち等、補償対象でなかった人に課税をするなどの調整をすれば、公務員の今の仕事のほとんどがなくなるのに、紙で確認することが仕事と思い込んでいる役人はその改善策も考えられない。ビッグデータ解析、AI解析が常識のこのご時世に、政府や官僚、お役所の仕事のやり方は相変わらず昭和時代のままなのである。

一方先進国のドイツでは、「休業」と「補償」がセットになっていて、インターネットで補償申請すれば、申請からわずか2日で緊急助成金を受け取ることができるという報道がされている。https://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20200411-00172759/

アホの安倍は、ことあるごとに「日本の技術は世界で一流だ」とスピーチしているが、平成の30年間で、日本は技術の後進国になっていることを政府や役人は理解していない、あるいは認めようとしない。特に安倍政権の8年の間に世界のIT技術は著しく進化し普及した。世界の技術レベルの現状認識ができていないので、アベノマスクのような竹やり戦法に500億円という膨大な税金を平気で使ってしまう。世も末である。そんな金があるなら医療従事者の支援と新薬開発に使うべきだ。本庶先生も「(日本政府が)100億円を研究者に対する、病態解明と治療薬につながる研究に出していただければと信じている」と語っている。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200413-00000006-ykf-soci

科学・技術立国を標榜しながら予算削減をしてきたつけが、この危機的な状況で顕在化してきた。果たして次の総選挙で自民党には批判票が投じられるのだろうか???
たとえ批判が増えたとしても小選挙区制のからくりで自民党政権は継続されるだろう。
不要不急の外出自粛で新型コロナウイルスの感染スピードが落ちることを祈りたいが、今の自民党を選んできた我々国民一人一人が目を覚まして反省するためにも、残念ながら日本は一度カタストロフィックな状態まで落ち込む必要があるのかもしれない。

昨年度の人口統計を見ると、選挙権をもつ生産年齢人口(18歳~65歳)は約7000万人。
彼らの8割が自民党・公明党以外に票を投じてくれれば、政権交代はありうるのだが。。。グローバルに活躍し、あらたな革新的・創造的視点を持つリーダーが出てくることを望みたい・・・・。

参考:メルケル首相の3/18のスピーチ 追記(4/19)
https://japan.diplo.de/ja-ja/themen/politik/-/2331262

メルケルは1か月前に感動的で理性的で合理的なスピーチをした。わずか13分ほどのスピーチで必要十分の論理的で納得性の高いスピーチだ。それにくらべ日本の政府はどううだろうか。安倍は何度も30分以上のスピーチを繰り返いしているが、彼の危機意識や国民、社会を守るという強い決意・責任感が全く伝わってこない。理由は簡単、それは彼がそう思っていないからである。

<メルケル首相のスピーチより抜粋>

事態は深刻です。皆さんも深刻に捉えていただきたい。ドイツ統一、いや、第二次世界大戦以来、我が国における社会全体の結束した行動が、ここまで試された試練はありませんでした。

日常生活における制約が、今すでにいかに厳しいものであるかは私も承知しています。イベント、見本市、コンサートがキャンセルされ、学校も、大学も、幼稚園も閉鎖され、遊び場で遊ぶこともできなくなりました。連邦と各州が合意した休業措置が、私たちの生活や民主主義に対する認識にとりいかに重大な介入であるかを承知しています。これらは、ドイツ連邦共和国がかつて経験したことがないような制約です。

次の点はしかしぜひお伝えしたい。こうした制約は、渡航や移動の自由が苦難の末に勝ち取られた権利であるという経験をしてきた私のような人間にとり、絶対的な必要性がなければ正当化し得ないものなのです。民主主義においては、決して安易に決めてはならず、決めるのであればあくまでも一時的なものにとどめるべきです。しかし今は、命を救うためには避けられないことなのです。

皆さんに呼びかけます。どうか、今後しばらくの間適用されるルールを守ってください。政府としては、再び戻せるところはないかを継続的に点検していきます。しかし、さらに必要な措置がないかについても検討を続けます。

事態は流動的であり、私たちは、いつでも発想を転換し、他の手段で対応ができるよう、常に学ぶ姿勢を維持していきます。新たな手段をとる場合には、その都度説明を行っていきます。

ですから皆さん、どうか噂話は信じないでください。様々な言語にも翻訳されている公式な発表だけを信じてください。

我が国は民主主義国家です。私たちの活力の源は強制ではなく、知識の共有と参加です。現在直面しているのは、まさに歴史的課題であり、結束してはじめて乗り越えていけるのです。

私たちはこの危機を克服していくと、私は全く疑っていません。ただ、犠牲者数はどれほど増えるでしょうか?私たちは大切な人を何人、失うことになるでしょうか?このことは相当程度、私たち自身の行動にかかっています。今こそ、固い決意のもと、皆でともに行動するときです。制約を受け入れ、互いに助けあうのです。

現状は深刻ですが、この先はいろいろな展開があり得ます。

ということは、一人ひとりがどれだけ自制してルールを守り、実行するかが、全てではないにせよ、今後の展開を決める一つの要素なのです・・・・

そしして、4月15日にはすでにドイツは次の対策のステップに移行しようとしている。
関係参考URL: http://www.berlinnet789.de/today/taisikan/osirase.htm

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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