2021/10/13 :香住町~香住海岸~玄武洞
旅の2日目は天気予報通り朝から雨。それでも10時近くになって小雨になったので、まず豊岡市神鍋にある「植村直己冒険館」に向かった。ところが水曜日は休館。一番肝心なことを調べなかったことを反省。
近くのガソリンスタンドで給油をしているうちに雨もあがってきたので、山陰海岸のジオサイトと海の幸を求めて香住町に向かった。
香住町
香住町の港からは海岸線を巡る但馬海岸遊覧船が出ていると聞いていたので、乗り場を探してあちこち回るがGoogleMapに載っている乗り場がない。そこで香住駅横の観光協会で聞いてみると、もう4、5年前に運航は終了し、今は小型船で巡るクルーズがあるのみで、天気の悪い日はやっていないとのこと。結局ここも空振りになってしまった・・・。
時刻も昼を回ったので、しかたなく近くの食事処を紹介してもらい昼食をとることにした。紹介されたお店は「笑い(WARA)」という海鮮丼のお店。夜は居酒屋となるようで小さな作りだが結構混んでいる。
近くの駐車場に車を止めて店に行くと、「今、ご飯がなくなってしまった。もし電子レンジで”チーン”のご飯でよければどうぞ」とのことだったので海鮮丼を注文した。すると出てきた海鮮丼にびっくり。ご飯の上に数々の種類の刺身が3層になって盛り付けられている。味噌汁も潮汁でたいへん美味しい。マスターは気さくな方で、「信州は味噌が有名だよね。信州味噌をブレンドして自分オリジナルのラーメンを時々作る」などと話してくれた。あとから口コミを調べてみるとたいへん人気のある店だった。遊覧船には乗れなかったが香住町まで来てよかった思った。
昼食のあと、香住海岸のジオスポットである今子浦の「かえる島」と、城崎温泉の玄武洞を見に行った。
山陰~但馬エリアの地質
山陰海岸におけるジオパーク活動資料によると、香住海岸は日本海が形成された新第三期(260~2300万年前)の北但層群の流紋岩溶岩・火砕岩でできており、いっぽう、玄武洞は160万円前の玄武岩質単性火山群である。
かえる島
かえる島はカエルのような岩の姿から名付けられた。昔北前船で航海に出た人たちが「無事に帰れますように」と祈ったことが始まりの祈願島である。
▼かえる島の前には凝灰角礫岩の波食棚があり、火山角礫岩や溶岩類は海食崖を作っている。
(参考:山陰海岸におけるジオパーク活動)
波食台には北前船を係留するたの杭を打ち込んだ穴が複数認められた。
▼水辺のヤドカリ達
引き潮のあとの波食棚の中の水たまりで小魚やヤドカリがせっせと活動している。
湾内の海は穏やかで浪打際でしばし生物観察をしたのち、次の目的地の玄武洞に向かった。
玄武洞
ブラタモリでも紹介された人気のジオサイト。時刻は16時近くなのに若いカップルをはじめ、見学者が何人もいたのに驚いた。おそらく城崎温泉の宿泊客は必ずここを訪れるのだろう。
玄武洞は玄武岩のきれいな柱状節理がみられる場所。地学的に松山博士が地磁気の逆転現象を発見したことで有名である。
以下、城ケ崎観光協会の説明を抜粋:
玄武洞は160万年前の火山活動により山頂から流れ出したマグマが、冷えて固まる時に作り出した規則正しいきれいな割れ目が玄武洞です。そして、約6000年前、波に洗われてその姿を現しましたが、人が石を採取したため洞となりました。
江戸時代の文化4年(1807年)6月25日、幕府の儒官、柴野栗山が「玄武洞」と命名しました。明治17年(1884年)には、岩石の日本名を定めるとき、東京大学の小藤文次郎博士が玄武洞の名を用いて“玄武岩”と命名したため、今日でも玄武岩と呼ばれています。
大正15年(1931年)には、京都大学の松山基範博士が、玄武洞の石の磁性の方向が、今と反対の南を向くことを発見。地球科学の新しい扉を開きました。
会社に入ったころ一度来たことがあるが、その時は玄武洞の採掘エリアまで自由に入れたように思う。しかし今はきれいな公園となり、そこまでは近づけないようになっている。玄武洞前の店の方に聞くと、20年くらい前に大規模な公園整備をしたそうだ。
「玄武洞公園」は、玄武洞のほか、青龍洞、白虎洞、北朱雀洞、南朱雀洞と名付けられた柱状節理の露頭が並んでいるが、今回訪れてみて、節理の方向性や大きさの変化が分かりやすい青龍洞がもっとも美しく感じられた。
▼青龍洞
▼玄武岩に埋め込まれた磁気をコンパスで確認
強い磁化を持つ火山岩(特に玄武岩)地帯は、通常、大きな正の磁気異常を示すが、玄武洞付近は負の異常(周りより地磁気が弱い)が観測された。この原因を解明するために、松山先生が玄武洞の岩石を大学に持ち帰って磁化の測定を開始し、「第四紀の前半は地磁気が逆転していたと思われる」との結論を発表した。
今回は2つのサイトしか行けなかったが、山陰海岸ジオパークは、昨年の南紀熊野ジオパーク同様、魅力的な巡検サイトが数多くあり、天気の良い時期にもう一度じっくり訪れてみたいと思った。
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