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旅の記録 歳時記

三浦半島巡検(2022/04/06 – 04/07)

三浦半島は新生代新第三紀の地層からできており、褶曲・断層などのジオサイトが沢⼭ある。今回、早稲田大学の方が作成した「三浦半島ジオサイト」の文献に従って半島南部のジオサイトを訪ね、海洋プレートから引きはがされた付加体の1500万年の地球の歴史を感じ取ることにした。
ブログ中の説明文の多くは、上記文献より引用させていただいた。

その他の参考文献:三浦半島南部の地形 地層観察ガイド

4月6日 ①荒崎海岸

荒崎海岸の展望台からは相模湾と富士山が一望できる。

海岸には三崎層の凝灰岩(黒色)と砂岩の地層が広がっている。

共役断層?

荒崎の不整合と鍵層
三崎層の地層は約1200~400万年前の新第三紀に海底で堆積した.上位の褐⾊の地層は約7~1万年前の第四紀の関東ローム層.この両者の間には約400万年の年代差がある。このように地層の年代に大きなギャップがある関係を不整合という.

十⽂字洞
波浪の侵によって海岸の地層にできた海.2つの洞窟が交差していることから「十⽂字洞」と呼ばれている。さな断層や節理など周囲より脆い部分が存在すると⾷食が速く進むためそこからが形成される。洞ができた後に地層が隆起したので今は波をかぶることは無い。

弁天島

4月6日 ②浜諸磯~三崎エリア

諸磯灯台

浜諸磯のスランプ礫
まだ固まっていない火山噴出物であるスコリア質の砂岩(黒いところ)の上に,海底地すべりなどによって泥岩(白いところ)の塊が落下してできたものと考えられている。

スランプ礫のある海食台の上にはたち切れた地層と地滑りの痕跡が見える。

諸磯の隆起海岸
センコウ貝(イシマテ貝)の穴が上下に何段か並んでいる。これは昔ここが海岸線であり波打ち際に貝が住んでいた証拠である。この露頭の穴の層の数から、この場所が過去、何回かの大地震により段階的に隆起してきたことがわかる。

海外町のスランプ褶曲
海外町のスランプ褶曲は神奈川県の天然記念物に指定されている。このポイントでは地層が折れ曲がった褶曲構造が観察できる.

褶曲は、地層全体が折れ曲がる褶曲と,地層の一部の層だけが折れ曲がるスランプ褶曲に分けられ、この褶曲はスランプ褶曲であると考えらる.スランプ褶曲は海底に堆積した砂や泥などの未固結堆積物が,地震などによって海底地すべりを起こし、海底地すべりの影響を受けた地層だけが褶曲することから,「層内褶曲」とも呼ばれている。

二町谷(ふたまちや)の漣痕
平行に重な た地層の中に波模様をした地層が観察できる。この構造は漣痕(リップルマーク)と呼ばれている。漣痕は海底に堆積した砂や泥などの堆積物が水の流れによって再度削られたり堆積したりすることで形成される。

4月7日 城ヶ島

観光橋のスランプ褶曲

平らに削られた露頭は隆起した海台で城ヶ島の海岸に広くられる。露出する地層は三崎層で1200万年前~440万年前深約2000~3000mの陸から遠い海底で堆積したこのジオサイトの地層の部に特異な湾曲をす地層を含む部分が続いている。曲がった地層の上部と下部の地層は乱されていないことからスランプ褶曲である。

京急ホテル南側の火⼭灰層
観光橋の地層から南側に移動してくると地層の傾斜が緩やかになり、平らに近い地層の露頭が観察できる。露頭で目立つ白⾊の炎のような形をした層は⽕⼭灰が固まった凝灰岩層で,オドリタフと呼ばれている。

このような模様を⽕炎構造と呼ぶ.下の白い凝灰岩層が堆積した後に,上に積もったスコリア質砂岩の加重により,下の地層が巻き上げられてできたもので,逆に上の地層は垂れ下がっており,それを加重痕と呼ぶ。写真の露頭には地層を切る逆断層が観察できる。

このオドリタフの下には,ピンク⾊を⽰すや厚い凝灰岩層が挟まれており、その中に,葉理(ラミナ)が乱されたコンボリュートラミナや⽣痕化⽯が観察できる。

安房崎の三崎層ー初声層境界と地層の逆転

城ヶ島公園の東端から⽯段を下りて左手に進むと写真のような地層が見学できる。
写真左⼿は三崎層の砂岩泥岩互層,右手は初声層の凝灰質砂岩.よく観察すると,三崎層が初声層に斜めに削られており,その境界部には多量のスランプ礫(偽礫)が含まれていることがわかりる。このことから,三崎層が堆積した後に海底地すべりを起こしながら上の初声層が堆積し,不整合のような境界をつくったと解釈されている

海岸を少し北上すると三崎層の地層の逆転が認められる。写真右側の層は「北傾斜南上位」である。一⽅,写真左側の三浦半島南端の三崎層は,北傾斜北上位であり大規模な褶曲構造が想定される.

海鵜展望台から望む不整合境界
城ヶ島公園への歩道沿いに海鵜展望台があるこの展望台の対岸は断崖となっており例年10末頃から海鵜が北国から渡ってきて越冬する展望台からの景観は「城ヶ島の落雁」として三浦半島景に選定されている。


ここから対岸の露頭を望遠すると初声層と関東ローム層の境界をなす不整合がよくわかる。海鵜の巣とともに初声層が傾斜した傾斜不整合の様も観察することができる。初声層の露頭にみられるいものは海鵜の糞。

の背洞
この洞波浪等に侵されてできた海洞で、満潮時には小⾈でこの洞を通り抜けられたが,1923年に発⽣した関東地震でこの付近の地層が約1.5m隆起した。を構成する地層は初声層での凝灰質砂岩の中にしばしば斜交葉理やスランプ礫がみられる

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