3月28日、元YMOの坂本龍一さんが亡くなった。各局は彼の追悼番組を放映している。その中で、NHKが2008年に作成した「100年インタビュー 坂本龍一」を見た。坂本龍一の音楽はどのような背景の中から生まれているのか。幼少期から現在にいたるまでの半生、映画音楽に携わるまでの経緯、音楽についての考え方など、坂本龍一自身が自らについて語る番組。聞き手は渡邊あゆみアナウンサー。
印象的だったのは、「坂本さんはこの曲にどのようなメッセージを込めて作られたのですか?」という問いに対し、ピカソが「ゲルニカ」に対して「牡牛は牡牛、馬は馬だ。鑑賞者は結局、見たいように見ればいいのだ。」という言葉を残しているように、「曲そのものがメッセージである」であるという回答だった。
前日、やはりNHKの「アナザーストーリー クイーン 21分間の奇跡 〜ライブエイドの真実〜」を見たとき、「フレディーマーキュリーの”ボヘミアンラプソディー”の詩に込められたメッセージは何かと」いう質問をブライアン・メイにしたところ「音楽そのものを楽しめばよい」と答えたいた。また、同じくNHKの「クラシックTV」の楽譜に関する話題の中で、「なぜ作曲家はフォルテなどの記号ではなく、言葉で表現方法を指示しないのか?」という問いにたいし、MCの清塚氏が「言葉にするとかえって表現がむづかしい。プレイヤーが曲から感じたままを表現することが重要」と語っていたが、いずれも芸術とは何かを示唆する回答だった。
結局、芸術は鑑賞者の目を通して、彼、彼女の時代的背景や経験、思考の中で感じ取るものなのだから、様々な解釈があってよいのだと思う。
音楽家・坂本龍一が語る作りたい音楽、本の可能性、時と人をつなぐ音について
特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」
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