とあるネット情報から興味を持ち、齋藤ジンさんの「世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ」を読んだ。
彼女の論説は魅力的であり、近未来を的確に予測しているように感じた。今後、世の中の動きが彼女のシナリオに沿って動いていくかどうか注視し、時折このブログに政治経済の動向と彼女の考えを追記していくことにする。
追記・更新:2月15日 ロシアーウクライナ戦争終結の動き
トランプが大統領になってからまだ一月も経たないが、大統領就任前から練っていたと思われる戦略を矢継ぎ早に実行しようとしている。その一つがロシアーウクライナ戦争の終結である。今週(2月15現在)は、トランプの信認を得た多くの高官がウクライナ、EUに送り込まれ戦争終結の交渉に入っている。例によってマスコミはその状況を単発的に事象ベースで報道するが、斎藤ジンさんのこの本に書かれていることを頭に入れて読むと、アメリカの覇権を脅かそうとしている中国をたたくためのトランプ陣営の戦略に沿った行動のように思われる。
<「世界の秩序が変わるとき」からの抜粋>
彼ら(米国)の基本戦略は中国とマラソン競争をして、中国が自らの弱さによって潰れるのを待つアプローチです。政権によってよりアグレッシブであったり、マイルドであったりと匙加減は異なるでしょうが、基本的には米ソ冷戦での枠組みと似た形になります。(略)
ロシアはアメリカのメインターゲットではありませんが、国際秩序を力で踏みにじったことは、ワシントンの安全保障のプロの感性からすると許すわけにはいきません。彼らの見解では、プーチンが勝手に一人でこけている中、アメリカ人の血を流さずにロシアの国力と威信を低下させることができているので美味しい話です。(略)
(中国を凋落させるために)トランプ政権がリスクをとり、クリエイティブなアプローチで片を付けようと思うのであれば、ロシアと妥協して中国に専心する戦略です。(略)
アメリカはプーチンと手打ちをし、ロシアのメンツが立つ形でウクライナ戦争を終結させれば、中ロの協力体制は一気に弱まるので、アメリカは中国に専心できるという考え方になります。また中東情勢を安定させるうえでも、ロシアを引っ張り込めば、アメリカはかなり楽になります。(略)
アメリカの支援がなければ、ウクライナは戦争の継続ができないので、トランプはそれをレバレッジとしてウクライナのゼレンスキー大統領を交渉の場に引きずり出すことができる。その一方、ロシアのプーチン大統領に対しては、交渉に応じない場合、ウクライナに供与したアメリカ製兵器をロシア領内に対する攻撃に使うことを認めると脅すことになります。(略)
このアプローチが仮に実践されるとすれば、ウクライナが最大の敗者で、EUが日本に相当する負け組になると評価されます。トランプの関係者にはこのアプローチをとるべきだとの声が根強くありますし、私もトランプはこちらを選択する可能性が高いと考えています。
齋藤 ジン. 世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ (文春新書) (p.195). 文藝春秋
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