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歳時記

全国高等専門学校 ディープラーニングコンテスト(2021-07-02)

全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON)は、高専生たちが日頃培ったモノづくりの技術とディープラーニングを組み合わせたビジネスプランを発表し、各チームを企業だと想定した場合の企業評価額によって競うコンテスト。先日HNKのサイエンスゼロで取り挙げられ、その存在を初めて知った。

DCON2021

1990年以降、世界の産業構造が情報革命によって大きく変化している中、日本は世界のトレンドについていけず、技術的にもビジネス的に周回遅れになっている。政府も大企業もただ過去に作られた仕組みを弄り回し、改善と称する改悪をしているだけで、世界の先端技術・ビジネスモデルを謙虚に学び、日本の産業競争力を高めて世界に展開できるような本質的な課題解決はできていない。

こうした末期的な状況、特に国の時代にそぐわない政策論争を打破するには、

①日本が戦争のようなカタストロフィックな状況に陥って、多く人が今の茹でガエル状況から目を覚まし、再度世界に追いつこうと真剣に学習を始めるか、
②先進的で知性のあるイノベーターといわれる階層・企業が、ポテンシャルのあるアーリアダプターに良いお手本を示し刺激を与えることで、世の中に相転移を起こすこと

このDCONは、その後者②の取り組みで、全国の優秀な学生(イノベーター)が、自分たちが保有する技術で社会課題を解決し新しいビジネスモデルにまで昇華させることを期待する取り組みだ。

DCON実行員会の委員長で東京大学大学院工学系研究科の松尾豊教授は、

『 高専生自身が今の時代に自分たちのもつ潜在的な価値に気づき、自信をもって新たなイノベーションを生み出してもらいたいと思っています。ものづくりに密着した「現場感のある」「実践的な」ディープラーニングの活用によって解決できる社会課題はたくさんあります。全国各地にある高専で、学生たちがディープラーニングを学び、新たなスタートアップが生まれ、投資資金が首都圏から流れれば、地方経済にとっても大きな刺激になります。また、地方にある優良なものづくり企業と連携していくことで、地元企業の底上げにもつながり、その先には世界で通用する企業が生まれてくるかもしれません。』

と述べている。コンテスト自体は小さな取り組みであるが、メディアは甲子園のようにこうした取り組みを大きくとりあげ、良い事例を喧伝してもらいたいものである。DCONで起業した企業の成功を祈りたい。

関係記事:

https://www.jdla.org/news/20210417001-2/
https://www.businessinsider.jp/post-189980

 

追記:

最近、平井デジタル改革担当相が内閣官房IT総合戦略室の会議で、請負先企業のNECを「完全に干す」「脅しておいた方がいい」などと指示した暴言問題が明るみに出たが、平井氏が推していた企業は「ACES(エーシーズ)」という会社で、AI研究の第一人者として知られる松尾豊教授が技術顧問として名を連ねている会社であると週刊誌は書いている。

平井氏は電通出身で横柄で、彼の発言をとても弁護する気にはなれないが、100歩譲れば、これまで官製談合的に大手に発注されていた案件が、真のイノベーターに正しく発注されるようになれば、大手企業も体質を変化せざるを得なくなるだろう。

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