■お遍路第14日目(3月5日) 雨
久万高原は未明から雷が鳴り激しい雨に見舞われた。朝食の時にご主人に「悪いけど今日はゴアテックスのカッパを着させてもらいます。」と冗談を言うと、「今日のような日はカッパが良い。」と肯定してくれた。私が長野県から来たことを知ると、以前浅間温泉の大きな旅館の御曹司が泊まりにきたと宿帳を見せてくれた。私と一緒に泊まっていた3人のお遍路さんはまだ薄暗い6時半ごろ出立していったが、私は7時に出発した。ご主人と奥さんが雨の中、傘を差しながら自分の姿が見えなくなるまで見送ってくれた。
▼標高720メートルの三坂峠は激しい雨に加え霧に覆われ、遍路道の入口を見落としそうになった。さらに山道は川のようになり靴の中はすぐにぐしょぐしょになった。後で気象庁の雨量データを見ると10分間の降雨量が10㎜を超えていたので相当な豪雨だったようだ。幸いモンベルのゴアテックスと傘の組み合わせは機能し、雨を防ぐことができた。
▼狭い山道を約2㎞下るとかつての民宿「坂本屋」に着いた。道も舗装道になったが側溝から溢れた雨水が道を覆っていた。
▼雨の中を歩くこと約1時間半で松山市内の外れにある46番札所の浄瑠璃寺に着いた。納経所の方が「大変だったでしょう」と飴を接待してくれた。その頃には雨足は弱まったが、時々波状攻撃のように強い雨が降ってきた。その中で47番八坂寺、48番西林寺を回った。西林寺では、車でお遍路しているというおばあさんと孫と思われる二人組に会った。聞けば久万高原から来たそうで、途中激しい雨と霧で道に迷ったとのことだった。私が歩いてきたことを話すと、「怖かったでしょう」と驚いていた。
▼西林寺から49番浄土寺、50番繁多寺を回り、2009年、仕事で松山に来た時に立ち寄った四国八十八か所でも大きなお寺の51番石手寺に13時半に到着した。まだ時間があるので、ここで雨支度を軽くし昼食のパンをかじり、10㎞先の52番大山寺にむかうことにした。
▼遍路地図によると、大山寺までは松山の市内を迂回するようになっているが、昨日の桃李庵の主人のアドバスに従って、道後温泉本館の道をまっすぐ西に進み、県道184の大きな道に突きあたったところで右折して広い道を歩き、迷うことなく16時半に到着することができた。大山寺は納経所から本堂まで300mの距離があるので、先に納経所でご朱印を頂き、その後ゆっくり参詣した。境内では夫婦のお遍路さんがポンチョを来て参拝していた。
▼時間はすでに17時を回り、2㎞先にある53番円明寺の納経は無理である。そこで、円明寺の隣にあるJR予讃線「伊予和気」まで歩き、ここで今回のお遍路の区切り打ちとし、電車で松山市内のホテルに向かった。
今日は大雨の中の”行軍”で足がふやけてマメができないか心配だったが、何とか持ちこたえてくれた。ホテルで濡れた雨具や靴を乾かし、近くのコンビニで買ってきた弁当とビールで夕食をとり、翌日の高速バスの予約をした。
▼今日の歩行ルート 民宿桃李庵~52番大山寺 38㎞
翌日3月6日は、松山市駅から高速バスでJR舞子駅に向かい、JRと名飯バスを乗り継ぎ飯田には18:20に到着した。
■まとめ
当初500㎞を歩けるか自分自身でも疑心暗鬼であったが、無事歩き通すことができた。歩き遍路はとかくひたすら歩くことだけに集中しがちだが、最終日の桃李庵のご主人の指摘通り、1~2日余計にかけても良いのでゆっくり歩き、行く先々でしか味わえない体験・経験をすることが重要である。そういった意味では前回の徳島~高知の旅は充実していたように思う。
次回、いつになるかわからないが松山~香川の旅ではこれまでの教訓・経験を活かし、より充実したお遍路となるようにしたい。
■全行程 Googleマップ
■今回の教訓
・毎日の歩行距離は30㎞以下が適当。もし長く歩く場合は、旅館の方の到着の心配を避けるためにビジネスホテルの素泊まりを予約をした方が良い。
・各宿屋には洗濯の設備があるので、着替えは必要最低限で良い。
・トンネル内の歩行安全を確保するために、LEDランプの携行は必須。
・旅行中の杞憂を少なくするために、あらかじめ宿を予約しておいた方が楽。計画の変更が生じた際は、早めに宿に連絡すれば問題ない。(宿の女将さんの話)
・宿屋の選択のフレキシビリティーを上げるためには、JRやバスを利用して遍路道の行き来をするような計画も有効
■費用 15万円
詳細添付ファイル:2018_henro_cost
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