2020年12月18日(金)啓子さんが肺炎となり飯田病院へ入院した。幸い抗酸菌の問題もなくなり、年末年始を病院でゆっくり休養したので肺炎も完治し、19日間の入院生活を終えて1月6日に退院することができた。
おりしも世の中は新型コロナの第3波が押し寄せ、一日の感染者が全国で7000人と急増している。1/7、政府は首都圏の知事に押される形で2回目の「緊急事態宣言」を出すことになった。
インフルエンザやスペイン風邪と同様に、新型コロナも冬場に再流行することは予測されていたが、7月以降、規制も緩み、皆が「コロナ慣れ」してきた結果、3密対策を意に介さない一部の人の行動が、ウィルス感染を加速させたように思う。
幸い啓子さんはコロナではなかったが、発熱外来ではPCR検査を受けることになったので、その経緯を以下にまとめておく。
■ 経緯
12/14(月)ごろから微熱が出て、12/15、16は37~38度の熱だったが、17日(木)は38.5度まであがりいっこうに回復する気配がない。37.5度以上の熱が4日以上続く場合は新型コロナ感染も疑われるので、松尾医院に行くことにした。
松尾医院の駐車場に車を止め1時間ほど待ちながら(隔離されながら)、コロナの抗体検査を受けたところ「疑陽性」の判定となった。松尾医院からはさっそく保健所に連絡をするとともに、飯田市立病院で精密検査を受ける手配をしていただいた。
前の週の12/7~12/8、私は伊豆の地学巡検に出かけていたので、「静岡からコロナウィルスを持ち込んでしまったのだろうか」と心配と罪悪感がよぎった。しかし、私はコロナと思われる症状は出ていない。「伊豆半島では、ほとんど人のいない屋外のジオサイトで過ごし、スーパーマーケット等での買い物も、当然マスクをつけて気を付けて行動したのに、このレベルで感染してしまうなら全国の感染者数はもっと多くなるはずだ。やはりコロナは考えられない」と言い聞かせつつ、市立病院に向かった。
市立病院に着くと発熱外来の隔離された部屋に案内され、啓子さんは、まず尿検査、血液検査、PCR検査、酸素飽和度のチェックを受けた。結果は1時間くらいで出るとのことで、酸素飽和度SPO2が90%以下のため酸素吸入と点滴を受けながら結果を待つ。その間私は診察医から過去2週間の行動履歴のヒアリングを受けた。
1時間後、PCR検査結果が出る。幸いなことに結果は陰性。ほっと胸をなでおろした。これまで危険物を扱うように対応していた看護婦さんも安心したようだ。ただ血液中の酸素飽和度が低くく肺炎の疑いがあるので、肺のCT検査とインフルエンザ検査をするとのこと。その結果、軽度の肺炎と診断された。
担当の先生からは「酸素飽和度が低いので入院したほうが良い。市立病院は緊急外来対応の患者が入院するので、かかりつけの飯田病院で診てもらって入院するようように」と飯田病院と連絡を取っていただいた。
飯田病院に向かうと、わざわざ原先生がでてきて診察をしてくれた。市立病院の診察通り肺炎とのことで、すぐに入院手続きをしてくださった。看護婦さんから入院手続きの説明を受け、入院に必要な書類や持ち物を確認し、19時過ぎに飯田病院をでた。ともかく新型コロナでなくてよかった。。
■感想
12月に入って新型コロナの感染者数は増加の一途。GOTOキャンペーンも年末年始は取りやめとなり、政府からは連日、行動の自粛が呼びかけられているが、なかなか感染のピークを迎えない。幸い飯田は感染者の発生もなく、コロナとは無縁と思っていたので、まさか身内がPCR検査を受けるとは思いもよらなかった。コロナかどうかで大いに心配した一日だったが、おかげで貴重な体験をし、現在の医療の現場を知ることができた。
1、最前線の現場にいる看護婦や医師は大変!
発熱外来の医療スタッフは2次感染の恐怖の中でも、患者を汚染物とみなさず、的確に仕事をこなそうとしている。しかし常に緊張感の中に置かれているので、患者の非協力的な態度にはさすがに苛立ちを隠せない。啓子さんはマスクをつけるのが嫌なのでマスクを外したり、至近距離で看護婦さんに向かって話かけたりする。さすがに彼女は「マスクを着けてください。マスクは人にうつさないためのものだから!」と、ちょっときつい口調で注意をした。
2、患者からのヒアリング作業は難しい。
隔離されたなかでのトリアージ作業は、ITなどを使って簡単に効率化できるものではない。とくに患者が高齢者で説明の要領が悪い場合、家人は病院に行く前に、病院側が必要と思われる情報を箇条書きに列記し、病院スタッフと容易に意思疎通ができるよう気を遣うことが必要。
3、初診の判断が重要
松尾医院での抗体検査の結果、市立病院での精密検査となったが、松尾先生に聞いたところ、「飯田病院を紹介してもよかったが、PCR検査にはいくつかの方式があり、飯田病院のPCR検査機で疑陽性になると、結局市立病院で再検査することになるので、初めから市立病院を手配した」とのこと。検査装置が充実した市立病院で診てもらえたので、病院のたらいまわしにならずありがたかった。
4、コロナ禍で病院設備も充実し始めている
2020年の春、コロナが発生したばかりのころは、PCR検査機装置も少なく、また検査時間も数日を要したが、この半年間で装置も充実し、1時間程度の検査時間で陽性・陰性の判定が可能になっている。メディアは、連日の感染者数ばかりをクローズアップして報道しているが、この1年間で病院側の受け入れ態勢がどのように改善されたか、また国からは医療現場にどの程度の援助(費用)がなされ、どのような仕組みの改善があったかも報道してほしいものである。
5、高齢者の医療費の負担は安い!
今回の一連の検査や処置で、啓子さんの支払いは4500円だった。
発熱外来でのトリアージ対応、高額なCT検査を含めた各種検査や医師の診断等々、病院の資源を相当使ったから1万円以上はかかるかなと思っていたので、10%負担の威力の凄さを感じた。日本の医療は平等?~若者かわいそう・・・。
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