2月6日、13日の2週にわたって、NHK Eテレ 「先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)」で 「伊丹十三/人を魅了するには」が放映され、彼の生い立ちや異才ぶりが紹介された。この番組には視聴者の反響がずいぶんあったようで、3月2日にまた再放送されるとのこと。
番組では、
・知恵その一 映画は「大人になってからこそ勝負しろ!」
・知恵その二 「身近なところに本質はある」
などの彼の哲学や生き方のエピソードとともに、妻で女優でもある宮本信子さんの裏話などもあり面白い番組だった。彼は51歳にして初めて映画監督として「お葬式」を撮ったが、それまで映画を作らなかった理由は、映画監督だった父、伊丹万作への反発からだったとのこと。しかし50歳で父の遺作である映画「無法松の一生」を見て、これは息子への遺言だったことを悟って、わずか1週間でお葬式の脚本を書きあげた。そして、お葬式はその年の日本アカデミー賞など多くの賞を総なめにした。
そんな話を聞いて、あらためて彼の映画を見たくなった。彼の映画は、お葬式、タンポポ、マルサの女、あげまん、大病人を見ているが、スーパーの女やマルタイの女は見ていなかったので、早速、「マルタイの女」のDVDを借りた。
「マルタイの女」は、1997年の作品で伊丹十三監督の遺作となった映画。マルタイとは、警察用語で身辺保護対象者の意味で、映画「ミンボーの女」公開後の襲撃事件によって実際にマルタイとなった伊丹監督の体験が生かされた作品である。
(マルタイの女のあらすじ)
深夜、女優の磯野ビワコ(宮本信子)は、偶然弁護士夫婦の殺人現場を目撃し、自身も殺されそうになるが危うく難を逃れる。事件の裏にはカルト教団「真理の羊」が絡んでいた。警察の事情聴取後、殺到したマスコミの前で「裁判で証言する」と宣言してしまうが、やがて彼女は教団から脅迫され、命も狙われることになる・・・。
ほぼ30年ぶりに伊丹映画を見て、笑いの中に痛烈な皮肉がある脚本と作品構成、そしてCASTINGのすばらしさに感服した。「知恵泉」の最後に、宮本信子が『「伊丹さん、ほんとにいいお嫁さんもらったよね」と、今自分で言っています。』と語ったが、伊丹映画たらしめているのは、まさに宮本信子の演技力であることも、あらためて感じ取ることができた。
それにしても彼の早逝は惜しまれる。死因は自殺と言われているが、マルタイの女の封切り後のわずか3か月後に自ら命を絶つとは思えない。「ミンボーの女」公開後、右翼、暴力団から数々の被害や脅迫を受けながらも、それに屈することなく、世の中の本質を突く作品作りを続ける伊丹監督を恐れ、誰かが葬ったと考えるほうが普通だ。伊丹十三に今の日本をもっと撮り続けて欲しかった。
追記(備忘録)
DVD-videoをリッピングしてISOイメージにする方法
⇒ フリーソフト DVDShrinkを使う
・フリーソフトソースのありか:C:\Users\user\Desktop\utility-apli\DVDShrink-exeファイル
・ISOイメージ化したファイルの保存先:E:\DVDShrink_ISO
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